Release Date 2023.06.29

5.丹後ちりめんとは

<丹後ちりめんとは>

 丹後ちりめんの定義は、下記①・②・③の3点の条件をすべて満たすことです。
    ①丹後で製織
    ②丹後で精練
    ③ちりめん技法
 ①・②・③の定義をすべて満たす絹織物を“丹後ちりめん”と呼んでいます。
 丹後ちりめんは古来より丹後地域にて製造されてきた絹織物です。

その最大の特徴は、“八丁撚糸”と呼ばれる右方向と左方向に強い撚りをかけた生糸を交互に緯糸(よこいと)に織り込み、織り上げた生地(生機:きばた)を精練する過程において左右の強撚糸による解燃トルクと収縮力との相互作用に伴う“シボ(凹凸)”を生じさせ、かつ同時に生糸に含まれている重量の約25%のセリシンを溶解除去することによる減量と空隙増加に伴う膨らみのある柔軟な風合いが得られることです。

 製織工程において左右の強撚糸を織り込み、その後の精練工程において左右強撚糸の解燃トルクと収縮力による“シボ”を形成させ、かつ同時に多量のセリシンの溶脱除去に伴う膨らみのあるしなやかな風合いを創り出す技法を、ちりめん技法と呼んでいます。

 
 

<ポリエステルちりめん>

 絹の丹後ちりめんは上記の通り広く認識されているところですが、丹後においてはポリエステルを用いたちりめんも製造されています。素材がポリエステルであっても上記のちりめん定義①・②・③のすべてを満たすものについても、丹後ちりめんと呼んでいます。
 定義要件である“① 丹後で製織”と“② 丹後で精練”についてはもとよりですが、“③ ちりめん技法”について少し詳しく述べます。
 絹織物の場合と同様に左右の強撚を施したポリエステル糸を織り込んだ生地を、精練工程におけるワッシャー加工においてシボ揚げを行い、熱セット加工によりシボ形状を固定した後に、アルカリ性の苛性ソーダ溶液による減量加工を行うことにより、ちりめんのシボと同様の柔軟で膨らみのあるちりめんの風合いを創り出すのです。
 特にこの苛性ソーダによるポリエステルの減量加工は、高温高濃度の苛性ソーダ水溶液中でポリエステルを加水分解することにより減量を施す加工であり、そのノウハウは昭和40年代に当組合の加工場において確立された組合固有の加工技術です。
 ※現在、減量加工を行っていた当組合直営加工場が閉鎖されたため、ポリエステルちりめんに限っては、現行①と③の定義要件となっています。

図.1 ポリエステルちりめん