THE SILK in Tango Kyoto Japan 丹後シルク

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風合いはそのままに、
スレに強く洗えるシルクへ。

 精練を終えたシルク白生地に独自開発の薬剤を浸透させ、熱反応を起こすことで、摩擦耐性を付加できる「耐スレ加工」です。合成繊維にも劣らない、スレに強い生地が得られることで、洗濯による劣化・シワの発生も低減し、シルクの持ち味である手触り感・質感・着心地を長く保つことが可能です。

写真:摩擦試験器で100往復評価試験

袖口・膝部分などの「スレ」からシルクを守る

 シルクは他の天然繊維にはない着心地や質感の高さがある一方、スレに弱いことが最大の弱点です。高価なのに、耐久性が低い。スレによって毛羽立ちが目立ち、せっかくの風合いが台無しになってしまうことが欠点です。特に、きものを着られる方の悩みとしてあったのが、帯周り、袖口、膝部分のスレによる劣化でした。
 当組合では、日本のシルク織物の最大産地である当地において、きもの着用時の弱点を補う技術を開発する必要がありました。ハイパーガード加工はシルクの実用性を高める研究の中で、京都府織物・機械金属振興センター様と丹後織物工業組合との共同開発により生まれた加工技術です。

化学反応でシルク繊維内部まで浸透させる

 ハイパーガードは精練を終えたシルク白生地に加工します。コーティング技術ではなく、シルク繊維の内部にまで浸透させる化学反応の技術です。通常、薬剤をコーティングするだけの加工の場合、着用による繊維のねじれ等で表面が劣化すると、結果として繊維へのダメージにつながる形になります。例えば、撥水スプレーなども、膝や尻などスレが起きやすい部分ではコーティングが剥がれ、水が染み込みやすい傾向があります。
 しかし、ハイパーガード加工は繊維の中まで薬剤を浸透させ、適切な温度管理による熱反応で定着させる「反応」の技術のため、繊維のねじれ等にも強く、シルクの風合いを長持ちさせることが可能です。
 黄褐色の防止効果がありますが、シルクですからアルカリに弱く、石鹸のようなアルカリで処理すると黄褐変が促進されます。

洗濯試験(洗濯15分×6回 標準運転)

生地の洗濯を繰り返した、スレの実験結果。

ハイパーガード未加工品
未加工品
ハイパーガード加工品
加工品

特徴とメリットHyper Guard Processing

ハイパーガード加工 顕微鏡写真

シルク生地の耐スレ効果で
洗濯による手羽立ちも軽減

シルクの弱点である「スレ」に対する耐久性を強化(ピリング防止)することで、摩擦による劣化、洗濯による劣化を軽減できます。また、形態安定性も向上し、スリップ防止性も高まります。上記写真は30分洗濯後の顕微鏡写真です。

着物イメージ

脱色&染色による「色替え」も
5回以上可能に

本加工は染色後も落ちることがないため、生地の色替えに耐えられる耐久性が得られます。このため、親子3代に渡ってきものを受け継ぎ、時代に合わせた色に染め替えることも可能。きもののほかに、フォーマルスーツや高級ふとん等の生地にも加工可能です。

ハイパーガード加工生地

シルク本来の風合いを損なわず
ソフトでドレープ性に優れる

丹後地域の特徴である、柔らかく、しなやかなシルク生地の手触り感・質感を持ち合わせたまま、耐スレ効果を発揮します。また静電気も起きにくくなり、生地によっては防シワ効果・防縮効果が得られる場合もあります。

INFORMATION

加工名 ハイパーガード加工
対応素材 シルク
用途展開 きもの生地・衿・帯・フォーマルスーツ・高級ふとん等
対応生地幅 16〜160cm
最小ロット 10m
納期目安 約10日

ご相談項目

ハイパーガード加工マーク

下記についてはご注意いただき、一度ご相談ください。

  • 生地の目方が多少増量されます。
  • 生地によっては縮む場合があります。
  • 加工後の染色は問題ありませんが、染め付けが濃くなる傾向があります。未加工のものと加工したものでは差が出やすくなります。染色堅牢度は少し向上します。
  • 先染め品にも加工は可能ですが、色落ちする場合があります。(本加工は基本的にはシルク白生地を想定した技術になります)
  • ニット製品の加工はできません。
  • 染織品には加工できませんが、特別な堅牢染の場合は可能な場合もあります。

お問い合わせ

丹後織物工業組合 加工場 染色加工課
TEL 0772-64-2493 FAX 0772-64-4994

〒629-2502 京都府京丹後市大宮町河辺3188番地
担当/山下雅基