Release Date 2024.01.05

年頭所感

令和6年 年頭所感

丹後織物工業組合
理事長 田茂井 勇人

 

 新年あけましておめでとうございます。

 

 このたびの令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。皆様の安全と一日も早い復旧を心より御祈り申し上げます。

 

平素は丹後機業の振興発展に、また丹後織物工業組合に対しまして、格別のご指導ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、先行きが見通せないロシアのウクライナ侵攻に続き、今度はハマス・イスラエルの紛争が勃発するなど世界情勢がさまざまな問題を抱え混沌としている中で、新型コロナウイルス感染症による行動制限からようやく解放され、消費活動の活発化による需要回復に期待を寄せた昨年でしたが、和装業界では、エネルギー価格の高騰や為替の急激な変動による原材料価格の急騰や物価高騰が消費心理を委縮させ、未だ回復の兆しを感じることが出来ない状況が続いています。
 丹後産地におきましても和装需要の減退や構造的不況に加え、織物従事者の高齢化に伴う技術継承の課題や織機等の老朽化による生産基盤の弱体化等、非常に厳しい状況が長く続いています。
 このような環境が続く中で、「丹後織物産地振興ビジョン」に掲げる「消費者に感動を与える商品が生まれる産地」、「絹織物といえば丹後」、「クリエイティブな商品づくりが可能な産地」として、国内外の流通業者・デザイナー・バイヤーからユーザーまで、多くの方々が訪れたくなる丹後を実現するべく、共同加工施設の見学ルートの整備や丹後産地の生地やプロダクトが一堂にご覧いただける施設の整備等を順次進めており、自分達で稼ぐ組合・産地を目指し本年も取り組んでまいります。
 また、繊維業界に高品質で安定した製品を供給するべく、組合の共同加工施設においても老朽化した設備の更新や高付加価値加工を可能とする機械の導入を進め、さらには加工技術の研鑽、向上を図り丹後のみならず日本の和装産業、繊維産業を支える施設としての使命を果たしてまいる所存です。
 さらに、和装を基軸としつつも蓄積された高度な織り、加工技術をファッション・インテリアなどの成長するグローバル市場を視野にチャレンジしていくことで、いま以上に懐の深い拡がりをもった産地が形成されていくものと考えており、京都府のご支援のもと推進している「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム」による各種事業に継続的に取り組んでまいります。
 後染用白生地の国内生産量70%以上を占める丹後産地は京友禅などの染めの産地を支え、西陣の帯の大半を製造する生産拠点として西陣を支え、京都はもとより日本の和装産業・文化を支える要の産地であります。その自覚を持ち、受け継がれてきた「丹後ちりめん」「Tango Textile」という資産を次世代へ確実に継承し、若い世代が郷土に誇りを持てる産地を築く所存であります。
 辰年にちなみ、龍のように力強く、そして知恵を出し合い、力を合わせ、新たな丹後を目指してまいりますので、引き続き皆様の格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。