年頭所感
令和5年 年頭所感
丹後織物工業組合
理事長 田茂井 勇人
新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、ご清祥のうちに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
平素は丹後機業の振興発展に格別のご指導ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症もウィズコロナ社会への移行の流れの中でようやく日常を取り戻しつつあり、感染縮小傾向の中で世界経済は回復基調となりました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻などを背景としたエネルギー価格や為替の急激な変動により原材料価格が急騰し、産地事業者の経営環境を悪化させているのが現状です。さらに丹後の織物産業は和装需要の減退や構造的不況に加え、織物に携わる従事者の減少、高齢化による技術継承の課題や織機等設備の老朽化による生産基盤の弱体化など、非常に厳しい状況が長く続いています。
このような中、昨年には今後の丹後産地の向かうべき方向性を示した「丹後織物産地振興ビジョン」を策定し、その具現化に向けて動き出したところであります。その第一歩として、組合精練工場の見学ルートの整備や組合員の生地やプロダクトが一堂にご覧いただける施設の整備等を行い、自分達で稼ぐ組合・産地を目指した取り組みを進めています。今後においても「消費者に感動を与える商品が生まれる産地」、「絹織物といえば丹後」、「クリエイティブな商品づくりが可能な地域」として、国内外のデザイナー・バイヤーからユーザーまで、多くの方々に注目される産地を目指した展開を進めてまいります。
また、コロナ禍によりリアル展示会の開催が難しい中、オンライン商談に取り組みはじめるとともに、絹セリシン配合のスキンケア化粧品「きぬもよふ」等をはじめ、メイド・イン・丹後のプロダクトの販売を行うECサイトも構築し、稼ぐ力の基礎づくりに取り組んでいるところであります。
さらに、丹後産地としては「きもの市場」を基軸としつつも、これまで培ってきた織り技術や精練を含めた様々な関連技術を活かし、ファッション・インテリアなどの成長するグローバルな市場を目指すことも不可欠であり、一昨年より京都府の御支援の下、日本を代表する府内和装3産地が連携し新市場の開拓、人材育成などを推進していく「シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム」による各種事業など、新たな取り組みを推進しているところでもあります。
組合の加工場は、その歴史、規模、技術力は日本一の工場だと自負しております。老朽化した設備の更新や高付加価値加工を可能とする機械の導入を進め、丹後のみならず日本の和装文化を支える加工場としての使命を果たしていく所存です。
受け継がれてきた「絹織物」という資産を次世代へ確実に継承し、若い世代が郷土に誇りを持てる産地を築くため、引き続きチャレンジして参りますので、皆さまの格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。