Release Date 2021.01.05

年頭所感

丹後織物工業組合

                                                    理事長 今井 英之

 

 新年あけましておめでとうございます。
 皆さまには、ご清祥のうちに新しい年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

昨年は「次代へ、新たな挑戦。」をテーマに掲げ丹後ちりめん創業300年を迎えました。イメージキャラクターにはイギリス出身のシーラ・クリフさんを登用し「おしゃれで可愛い日本の着物」のPR活動を推進しました。10月にNHKで放送された「世界は欲しいものであふれている」の丹後のきものシリーズもこのPR活動の一環です。
同時に「丹後ちりめん創業300年SILK WEEKS IN TANGO」として、丹後では約20年ぶりとなる「丹後織物求評会」を当組合加工場敷地内の特設会場にて開催いたしました。新型コロナの影響で開催することすら不安ではありましたが、関係各位の皆様や組合員のご協力をいただき、呉服・洋装バイヤーから地域の織物業者、フランス大使館関係者など約1千名のお客様にご来場いただきました。丹後で織り継がれているシルク製品の魅力が全世界に伝わるシルクウイークとなりました。

 このように創業300年となる丹後ちりめんは今なお進化し、「ものづくり」に取り組む丹後機業の技術は世界最高レベルです。コロナ禍の中ではありますが、Web商談なども開催し和装・洋装やインテリア素材としても国内外から高い評価を受けました。
 そこで、丹後ちりめん創業300年を契機に今50年、100年と織物産地として歩みを続けていくために、丹後産地として今後、大きく2つのことを実現していくことが必要であると考えています。
 まず一つは、精練加工などを行っています当組合加工場の建物、設備の老朽化への対応、そして生産性の向上と機能強化のための整備の実現です。最盛期には1日あたり白生地約1万反もの白生地を加工しておりましたが、現在は1日あたり約1千反ですので、決して効率が良い工場とは言えません。SDGsにも取り組み、ボイラーの燃料を重油から地球環境に優しい天然ガスに切り替えることにしており、組合創立100周年を迎える本年10月頃の稼働を目標に進めているところです。さらには、加工場には「洗える絹」を可能にする「ハイパーガード加工」や「抗ウイルス加工」など多くの特殊加工技術があります。こうした技術を活かして他産地からの加工も受け入れ財務内容の強化に努めます。
 そして2つ目は、丹後が国内、あるいは世界から注目される絹織物産地になるための情報発信機能を持つことです。最近では、親機業者の世代交代も随分と進み、若い世代がグローバルな市場を求めて海外の展示会へ出展し、和装においては呉服店様と機場が協働し消費者が求めている反物を提案するなど動きが活発になっていますが、コロナ禍の現状をふまえ、織物工房から消費者やバイヤーに向けて、SNS、ユーチューブを活用した「きものの魅力」情報発信やWEB商談、事業者のBtoBを基本とした新たな販路を創出し、個々の機屋に稼ぐチカラをつける機能を強化します。
 このような活動を通じて丹後産地がもつ織り・加工の技術は勿論のこと、丹後の文化、自然、食などの背景を一体的にブランディングすることで、「テキスタイルクリエーション産地」として、国内外のデザイナー、クリエイター、アーティスト、バイヤーに興味を持ってもらえる丹後を目指したいと思います。皆さまの格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。